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2009年05月05日

WEB上の広告の定義とは

ユニクロのユニクロックがカンヌ国際広告祭のサイバー部門のグランプリを獲得したのは昨年のことです。
その他多くの広告賞を獲得しました。
作品としては、クオリティが高く、近年まれにみるアイディアと面白さです。
しかし、この作品自体を純粋に広告というには違和感が残ります。
プロモーションとしてみれば確かにその役割をはたしており、広義の上では広告かもしれませんが。

WEBはいろんな仕掛けができるだけあって、どこからどこまでを広告というべきか難しいところです。
優れたサービスや商品を「広く告知」する。それを広告というのであれば、WEBらしい特徴を生かした検索連動型のテキスト広告が優れていると思います。
それからバナー広告。これも典型的な広告といえるでしょう。
コンテンツサービスを提供する際、テレビCMのような広告を見せるビジネスモデルがありますが、現状のWEBにおいて10秒以上も広告をながめているのは馬鹿げています。
そもそも現在のWEBでは、テレビ型の広告モデルを持ち込むのは無理があります。多くの場合、WEBとテレビでは視聴者の見る目的や集中度が違うため、テレビ型のモデルでは視聴者の負担や嫌悪感が大きいのです。
その意味で、ユーザーの目的にあった広告を表示するテキスト広告は、WEBの長所を生かした広告といえるでしょう。

しかし、わずか数行のテキスト広告では、到底テレビや新聞、雑誌などの他のメディア広告のような文化は望めません。広告ビジネスとしては優れていても、クリエイティブという点から見ると、テキスト広告やバナー広告はやはり見劣りしてしまいます。
でも、それは今現在ということです。将来的にはどうなるかはわかりません。
ぼくは以前、広告費が「いつかインターネットがテレビに追いつく日がくるかもしれない」と書きましたが、それには条件があります。
ライブドアや楽天によるテレビ局の買収が騒がれていた時にさかんに言われていた「放送と通信の融合」ということです。
ぼくは遅かれ早かれテレビとWEBは融合すると思っています。すでに一部はじまってはいますが、デジタル放送によって、ようやく現実味が増してくることでしょう。
それは急速に起こるのではなく、時間をかけて少しづつ確実に進んでいくと思われます。
今のままでは、決してWEB広告は広告の王者にはなりえません。どうのこうの言われていても、やはり王者はテレビCMでありつづけるのです。
一方、視聴者が自由にコントロールできる時代に突入することで、テレビも今後はこれまでの広告モデルのままでは成り立たなくなるのはわかりきっています。

これまで世の中はWEBという世界に過剰な期待をしすぎてきましたが、それも一段落し、冷静に評価されるようになってきました。
多くの企業がWEBでのサービスに広がりをみせる一方で、WEB関連の企業は、いつかリアルな(ここではWEB以外のことを指す)事業に手を出そうとします。
ある程度の規模まで行くと、今後WEBだけで成長していくことができるのは、あらゆるサービスを飲み込んでいけるグーグルなどのほんの一握りに企業だけになるからです。
楽天もWEBだけのサービスに限界を知り、もっとも相乗効果が望める放送との融合を考えた。
しかし、悲しいかな、楽天もライブドアも手を出すのが早すぎました。スピードこそベンチャー企業の命綱では有りますが、何事も時期ということがあるのです。
放送と通信の融合。
その時、従来型の広告モデルは変化を起こし、WEB広告はテレビCMとともに広告の王者となるのかもしれません。



投稿者 Toshi : 2009年05月05日 21:14

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