2006年06月07日
中間生成物の扱い
前回著作権の話をしたので、その続き。
グラフィックデザインなどの場合、著作権は制作したと同時に制作者がその権利を得ます。
その場合の著作権は「著作財産権」と「著作者人格権」から成り立ちます。
著作財産権は、複製することができる複製権、翻訳や変形したり二次利用したりする翻訳権、翻案権等があります。
著作者人格権は著作者の意向を無視して改変したりすることができない同一性保持権、作品を公表するかどうか決める公表権、著作者の名前を表示するかどうか決める氏名表示権です。
著作財産権は譲渡することが可能ですが、著作者人格権は譲渡することはできません。
他には中間生成物の所有権の問題があります。
例えばパンフレット印刷の場合を例にしましょう。
デザインのみを請け負った場合はそのデータ納品が最終納品物(目的物)です。しかし印刷まで請け負った場合の最終納品物は、刷り上がったパンフレットです。
刷り上がるまでには、デザインのデジタルデータ、印刷所であれば製版フィルムが作られます。これらは中間生成物といい、所有権は制作者側にあります。
過去の判例を見ても、特別な契約がない限り、発注者に引き渡す義務はありません。もしクライアントが制作データを渡してくれと言った場合は、中間生成物は別請求であること説明し、別途データ料金と引き換えに受け渡す方法もあります。
いずれの場合も、特に使用条件に関して取り決めをしていない限り、デザイン料金を払ったからといって著作権はクライアントには移りません。あくまで該当する利用目的のためだけのデザイン料金であるということです。
長くなりそうなので、続く(^^;;
投稿者 Toshi : 2006年06月07日 09:26
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